とらちゃん [随筆 猫]
だいすきだよ
大好きだよ...って
ずいぶんと歳をとったとらちゃんは、
立っていても、少しふらつくようになってきた。
ご飯もお水も、あまり喉を通らないよう。。
でも、食べたい!!って気持ちがあるだけでも、いいことだとおもって、
あれでもない、これでもないと、とらちゃんの食べられそうなものをいっぱい並べる。
おかげでとらちゃんの食卓は、あたし達の食卓よりよほど豪勢^^;
歳をとると、やはり目も耳も、お鼻さえも少しのんびりするようで、
大きめの声で、鼻先にものを置いてお伺いを立てねばならない。
お大臣のおとら様は、気分任せに口をつけたりそっぽを向いたり・・・。
あたし達を試そうとしているのが、なかなか一筋縄では行かないお大臣様である。
最近の彼女のお気に入りは、カリカリとかつお節とブリのお刺身である。
お水は、少しめんつゆを入れ、極々希釈したものを御所網。
特に寒くなってからは、お湯の水割りがお好みのようである。
なにせ、よくよく長生きをしてくれているとらちゃんのこと!
猫ちゃんには、あれを食べさせてはダメ、これはダメなどとのいろいろな規制など、
とっととどこかにやっちまって、
好きなものを好きなように好きなだけ食べさせてやりたい親心。
たぁんと たんと 食べておくれ^^
この冬になって、コタツで寝てばかりいたとらちゃんも、
少々、同じ場所ばかりにいるのが飽きたと見えて、
事務所に来ては、あたしのパソ前でお水をねだる。
仕方が無いので、小さな茶碗に例のめんつゆ水を入れてお接待(笑)
水を飲み終えると、椅子伝いに下りて行き、
ファンヒーターの上に乗って、舟をこぐ。
それは以前、乗り損なってハデに落っこちてから、
なかなか乗ろうとしなかった代物。
何年か経って、やっとその頃の心の傷も癒えたのだろうか?
あの頃より、ずいぶんと足腰も弱くなり、ジャンプ力もなくなってきたのに・・・。
どうしても!! と思う一念で、飛び乗ることが出来ているのかもしれませんね。
立っているだけでふらつくとらちゃん。
ファンヒーターの上で、上手に座りながら、
おでこごっちんをしてくる。
ぅんと ぅんと 長生きしてね。。。というと、
切なそうな瞳をあたしに向けながら、
わかっているわよ・・・と、
また、おでこごっちんをしてくる。
あたしは・・・
ただ ただ 大好きだよ・・と、ギュッと抱きしめる。
だいすきだよ
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