ひとふたやすみ [随筆 色いろ]
いそぎみち まわりみち ぶらりみち
きゅうざか いしだん じゃりんこみち
どこまでいくの
ちょっとそこまで
だけどちょっこし くたびれたなら
ためいきひとつ ひとやすみ
ためいきふたつ ふたやすみ
と、玄関のほうから声が聞こえる。
「いるよぉ~ だれやぁ~?」と言いながら玄関に向かうと、
なじみの顔が首を長くして、廊下の奥のテレビの音のするほうに声をかけている。
あたしは反対側からでて、
「あら、おばちゃん ひさしぶりぃ」
「おかぁちゃんは少し耳が遠くなったから、よぱっても聞こえんかもしれんよ。」
「んでも、奥にいるさけぃ 上がって行きねの」という。
このおばさんは、お買い物の途中に我が家にいつも立ち寄る。
いっぷくせえな家に着くまでにへばってしまうさけいのぉ・・・などといい、
しばし母と世間話をしていくのを常としている。
ちょっと前までは、このおばさんの家の前にも小さな店があり、
日用の食品やちょっとしたものなどが買えたので、いたって都合がよかったのだが、
ちょっとしたボヤ騒ぎがあり、それを契機に店をたたんでしまったのだ。
田舎のことであり、固定客はあったものの、それは年々減っていくしかなく、
どこかで区切りをつけたかったのであろう。
田舎の店というのは、大体そんなものだ(すまん 個人的な意見にゃのだ^^;)。
おばさんには子供も孫もいるが、仕事場に通いやすいという理由で、離れて町のほうに住んでいる。旦那さんを早くに亡くしているおばさんは、大きな家で一人暮らしをしている。
以前は自転車に乗っていろんなところに行っていたのだが、
歳をより多くとってしまった今は、自転車を降りる時が危ないからと、
どこへ行くのも歩いて行くらしい。
お買い物に少し離れたスーパーへも歩いて行くんだとか。
えらいなぁ~。。。
都会の人はわからないかもしれないが、
あたしのほうの田舎では、たいていの場合
どこに行くにも どわ つー どわ
つまり、玄関から自動車に乗って目的地の真ん前まで行くのです。
東京なんて、バスの一駅や二駅など知らないうちに歩いてたりするのにね。
うちらの田舎は、歩いて10分もかからないようなところにさえ、自動車!!
田舎の人は、本当に歩かない!!!
だけど歳を取ってから歩かなきゃならない人が増えたりする。
自転車に乗れなくなったり、自動車やバイクの運転免許返納などでね。
日ごろ歩いてないのが、歳を取ってから身に堪えてくるかも…
話はそれていったが、
んなことを考えると、歩いて買い物に出かけるおばさんは えらい!
おばさんと母を台所件居間に残し、あたしは事務所で仕事をしている。
母とおばさんは話が尽きぬようで、何やら楽し気に笑い声が聞こえる。
一人暮らしをしていると、なかなか声をあげて笑うことも少なくなるのかもしれない。
子供たちがしょっちゅう電話をしてくれても、それはそれなり電話なり。
あっておしゃべりするのに比べたら・・・やっぱりねぇ。。
とはいうものの、一緒に暮らしていても、そんなにじっくり話すこともないのも事実。
親子って、そんなものよね。
同世代の友人と話すのは、また格別でいいことだよね。
歳をとってからも、なるべくいろんな人と会って話をするのがいいんだけれど、
うちの母も運転免許を持たないので、なかなか友人に会いに行けない。
だから、会いに来てくれるのはとてもありがたい。
「いっぷくさせてぇ~」って理由だけでもね。
だけど、このおばちゃんは ちゃっかり屋さん。
いっぷくと母とのおしゃべりの他に、もう一つ目的があった。
それはここから自宅まで自動車で送ってもらうこと。
そろそろかなぁ・・・・と思う頃、
「おばちゃん 家まで送って行ってあげようか?」と、声をかける。
するとおばさんは、
「ありゃ いつも悪いのぉ~」と言って帰る支度を始める。
「また おいでや」の声に送り出され 自動車に乗り込むと、
「やっぱ自動車はいいのぉ~ ありがとのぉ」と、満足気。
町内は100円で乗れるバスが走っていて、おばさんの家の前にバス停もあるけれど、
そのバスで直接うちには来れないらしい。
おまけに時間がわからないからと、あまり利用していないらしい。
乗り合いのもっと小回りの利く、何か便利な乗り物ができるといいのにね。
あたしは今、自動運転ができる自動車に期待している。
そうすれば、万が一歳をとりすぎて運転が下手になっても、自動車を使えそうですものね。
田舎では絶対、自動車は必需品。
早く完璧な自動運転ができる自動車が、格安でできないかなぁ…。
それまでは仕方がないから
もっと歳を取ったなら
ながぁい なが~い坂道だって
とおい ちかぁい スーパーへだって
みちくさ よりみち しゃがみこみ
あっちで ほっこり ひとやすみ
こっちて ちょびっと ふたやすみ
のんびり時代を待ちながら
ひとふたやすみで また歩こ
(写真は今年の秋の散歩道です)
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鮮やかな 秋の風景ですね~
モミジ綺麗だなぁ(^^ゞ
by KAZ (2016-12-03 07:04)
おはようございます^^
色鮮やかな紅葉、素敵なお写真。
水に映る紅葉に落ち葉も雰囲気があっていいですね。
だんだん、小さなお店が続けるのが大変でなくなっていっていますよね。
車の運転できないお年寄りさんたちには、すぐ近くにお店がないのは大変ですよね。
お母様とおばさんとのあたたかい交流が感じられて、気持ちがあたたかくなりました^^
by アールグレイ (2016-12-03 08:46)
KAZさん、こんばんは。
いちばんきれいな時には少し遅すぎたのですが、
散ったモミジもまた秋の風情をいっぱい感じさせてくれました^^
見てくださって、ありがとうございました☆
by ゆめ乃 (2016-12-05 02:32)
アールグレイさん、こんばんは。
池をのぞいてみたら、色づく木々が映っていたり
舞い落ちたモミジが浮かんだり沈んでいたりして、ちょっといい雰囲気でした^^
ありがとうございます。
そうなんです。
最初は近くにスパーができて、次にコンビニができて…
なんてしているうちに、昔ながらの小さなお店はやっていけなくなってしまったようで…。
でも高齢化が進むこの時代になると、やっぱりご近所に以前のようなお店があったほうが…と、
人間て、無いものねだりをしちゃうものですね。
そうそう、そのおばさんがなんばの葉っぱ(ししとうの葉)をほしいと言ったので、少し持たせて送っていったのですが、
次の日、なんばの葉を炊いたから取りにおいでと電話!
私の作るのは美味しいんだから!!と渡してくれました。
帰って食べるとその通り
とってもおいしかったです
という後日談でした^^
by ゆめ乃 (2016-12-05 02:45)
だいずさん、こんばんは。
ないす♪をありがとうございました☆
by ゆめ乃 (2016-12-05 02:46)
忙しい時期ですが、お元気でしょうか。
おいでいただいてありがとうございました。
佳い年をお迎えください。
来年もよろしくお願いします。
by アールグレイ (2016-12-28 12:55)
アールグレイさん、こんばんは。
あと数分で新年を迎えそうです。
本年も拙いブログに付き合いくださいまして、ありがとうございました。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします。
アールグレイさんもどうぞ、よい年をお迎えくださいませ。
by ゆめ乃 (2016-12-31 23:52)