ひっつきぼんぼ

もりをあるかなくても
やわらかなけだまりが
ぺたん　ぴたん　と　ひっつきんぼ

ひきあうこきゅうが
ひとつにとけた









ぎゃあ～　ぅんに゛ゃあ～

お月さんも空を一跨ぎし、お日さんが登場する順番を、いまかまだかとじれ始めた頃、
大きな声を出しながら、カツカツと爪を鳴らし、
急な階段を上がって近づく足音が聞こえてくる。

あたしは眠い目をこすりながら、ふと廊下の方を見ると、
それに誘われたかのような顔をして、とらがベッドの上に駆け上がり、
耳元で、みゃあ～と、先ほどとは打って変わったような猫なで声を出す。
仕方が無いので、あたしは少し右側に移動をして、
自分の体温で、やっとほかほかになったばかりの場所を空ける。
少しずれた背中は、冷え冷えとした布団の端に、やっと引っかかる程度。
そうしておいてから、おもむろに布団を捲り上げると、
とらは、少しの躊躇も無く、するすると温まった場所へと滑り込んだ。

あたしは、ひんやりとしたとらの身体を抱き寄せると、
思わず、ぶるっと身震いをしてしまった。

とらは、ほんのちょっと温まると、もぞもぞと動き出し、
布団の入り口までにじりよると、
あたしの腕の肩近くに顔を乗せ、鼻先を顔に押し付けながら、
なんとも幸せそうな顔をして、ふがふがと鼻を鳴らしながら眠りに入っていった。

やれやれ・・・やっと眠ってくれた。

もうすぐ目覚ましのなる時間。
少し早いけれど、起きようかしら?と、少し身体を動かした途端、
あんなによく眠っていたとら、の目がぎょろりと開くと、
あたしが動かないようにと、しっかりと腕を掴む。

あ～ぁ・・・・　やっぱしかぁ～
仕方が無いから、もうちょっとだけ、一緒に寝てあげようかな?
そう思ってもうひと眠り。
とらの手は、相変わらずあたしの腕にしがみついたまま。
置いていかれるのが、いやなご様子。

とは言うものの、あたしゃ～いい加減起きなくっちゃいけないんだけど･･･。
中途半端におこしちゃうと、寝拗(ねこじ)れたとらちゃんは、
ぐずぐずと煩くなるので、上手に寝かしておかなきゃいけないし、
起きるのも、寝るのも、なかなか世話が焼けるものです。







そんなとらですが、起きている時間は、わりと自分気ままで過ごしていました。
でも最近は、そんな時間もうにゃうにゃと何か言いながら、
みんなの周りを付いて歩き、忙しさでかまってあげないと、
でっかい声で、ぎゃあ～と鳴き、
注意を自分に集めようと、なにやら画策し始めたり･･･。。。

そんなとらに負けて、
「なぁに?」
と、腰を屈めて話しかけると、
とらは鼻先を手の所に持ってきて、しきりに頭へと押し上げ、
鼻っ柱を撫ぜろと、強要!!!
片方の手で撫でていると、もう一方の手が遊んでいる!!と、
もう一方の手でも撫ぜろと、有無も言わさぬ態度。

仕方が無いので、とらが合点するまでひとしきり、なでなでなで。。

それが終わると、腹ごしらえをし、
さて、準備万端とばかりに廊下に出て、階段への曲がり角でひと鳴き。

二階へ一緒に行こうよ!! と、お誘いのご様子。

最初のうちは、ギャーギャーと誘い鳴きをしていても、そのうち静かになって、
あ～ぁ。。。やっと２階に行ったわねと、ひと安心していると、
微かに淋しそうな鳴き声が、ぅみゃぁ～・・・と聞こえてくる。
それでも少し放っておくと、怒り心頭の顔をして、
台所までやってきて、うぎゃ～!!と、お怒りのひと鳴き!!

そうなるもう大変で、
何処に行こうが、トイレに入ろうが、足にへばりつくようにしてついて回る。
気をつけないと、蹴っ飛ばしてしまいそうなほど(汗)

仕方が無いので二階までついて上がり、添い寝をしながら身体を撫でる。
撫ぜて　撫でて　撫でまくって・・・・
いい加減この辺でよかろうと身を起こすと、
膝によじ登り、顎下を鼻先で押しながら、もっと撫ぜろと強要する。

多少呆れながら、そのまま撫ぜていると、
とらはどんどんよじ登り、肩をガシッとつかみ、
まるでお洋服の一部のようにへばりつき、ますます撫でてと甘えだす。

これには相当辟易するが、やはり親ばか猫バカである。
それもこれもかわいくて仕方が無い(爆)







だいぶん歳をとって、歩き方もヨロヨロで、
水を飲むとき踏ん張る足も、たびたびズルッと滑ったり、
カクカクしたりしてしまうけれど、
そんな姿になっても、一生懸命に後追いする彼女が、
何物にも変えられぬぐらい、可愛らしく愛おしい。

ひっつきぼんぼのとらだけど、
本当はあたしの方が、彼女のひっつきぼんぼかもしれないわねぇ～^^